おかきズム

元ニコ動実況者(断じて有名でない)が、社会人になってブログ。グッズレビュー、アート、映画書評を書いてます。

おかきズム的アートの旅 #2: 国立国際美術館 抽象芸術 Abstraction: Aspects of Contemporary Art(2019/7) - 何だかよく分からないものを味わってみる

お題「今日の出来事」

 

どうも、黒豆おかきです。

 

「アートの旅」、シリーズ久々の第2回目です。
今回は、少し古いのですが、今年2019年夏に大阪の国立国際美術館で行われた「抽象芸術展」に行ってきたことを振り返ってみます。

 


後でも語りますが、私は「抽象」的な芸術が好きです。
絵画は、「写実的」「抽象的」に大きく分けられますが、そのうち私はどちらかというと「抽象画」の方がどちらかという、いろんな想像力がかき立てられて好きです。無論写実的な絵画も好きなのですが、特定のイメージを押し付けるような、どこか一方通行の感がある。抽象画は、技法とか、時代背景とか関係なし、また想像力が入り込む余地がある、そんな「自由さ」があっていいです。

今回そんな抽象画ファンの私が、抽象芸術展に行ってまいりました。

※繰り返しになりますが、2019年7月に既に終わった展示会なので、ご注意ください。

 

 

  

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1. どういう展示会だったの?(抽象芸術とは) 

 展示品は、文字通り抽象芸術作品。正確には、1980年以降のアメリカで活躍したアーティストの「純粋」抽象芸術が展示されていました。


抽象芸術というと、人物、風景など特定のモノを対象・表現しない、アート作品のことと考えられています。が、ピカソの異彩の放つ絵「アヴィニョンの女たち」も、カテゴリー的には抽象芸術と呼ばれることもあります。描かれた「対象」が何か?だけでなく、表現が「デフォルメ化」されていたりなど、どこか部分的にでも「抽象」が入り込むところさえあれば、ほぼ何でもかんでも「抽象芸術」と言えます。要は「抽象」とは、「写実」に対するアンチであるだけで、結構ざっくりとした表現なんです。


長くなりましたが、今回の展示物は「純粋」抽象芸術になります。ピカソの絵とは違い、妥協なしに「完全なる」抽象的な芸術。造形(線とか)、色彩、材料の質感だけで表現したアート作品が、広い展示スペースにどかっと置いている展示会でした。

 

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私個人、抽象芸術というと、パブロ・ピカソジャクソン・ポロックが出てきますが、今回展示の作品は、それより後の年代になります。戦前戦後に大流行した抽象芸術が一度停滞するのですが、80年頃に再復活。その時代のアーティスト作品を見ることができます。(一応2000年代のアーティストも紛れてるみたいです)

 

正直あまり詳しくない時代、、、なのですが、抽象芸術は個人的には好きなジャンル、写実作品にはない、形式に囚われない自由な表現が見られます。今回、新しい出会いを求めて美術展に行ってきました。(ちなみにこれをみるためだけに大阪に来ました)

あと、この展示会は撮影禁止なので、写真なし。適宜展示会チラシで補完します。

※展示会無料パンフレット↓

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2. 総評

総評ですが、、、満足できました!

抽象芸術好きという個人的な趣向が大きいのは否定しません。実際抽象芸術というと、「奇抜なだけ」「美術館で見る価値あるの?」という声もあるかと思います。ただ、ネット画像で見るよりも、美術館では「サイズ」「色彩」「質感」を堪能することができます。

気に入った作品はあとで挙げていきますが、スターリング・ルビーの『SP101 (2010)』という、メートルサイズの絵画を遠くのベンチから10分近くも眺めてしまいました。純粋抽象芸術が出す特有の「質感」は、一見意味不明なのですが、どこか吸い込まれる感じがするんですよね。贅沢な時間を過ごせたなと思います。


ただ、前述の通り、絵画はすべて純粋抽象芸術。あまりにも抽象芸術ばかりなので「???」と感じるものも多いのは事実です。純粋抽象芸術、つまり「実在のもの」を対象としない芸術だから当然なのですが、ぶっちゃけ何が何やらという状態に陥ります。一方「好きか嫌いかは自分が選べばいい」とも言ってくれているような気がします。何点もの意味不明の作品を見せられると、流石に展示会主催者側の無言のそのリクエストが鬱陶しく感じる時もありますが、そういう意味でも贅沢に過ごせたいなあと思います。



 

 

3. 気に入った作品 

ジョン・アームレーダー(John Armleder)、『大さじ(2016)』『滝(2016)』

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アームレーダーは、ペンキを滝の如くバシャァとキャンバスに垂れ流した、ダイナミックな作品を数々あげるフランスのアーティストになります。展示品のアーティストの中では、かなり今も現役っぽいです。この手法(Pour painting 注ぐ絵画)は、正直手法としては「古い」、抽象芸術のマンネリ化を感じさせなくはないのですが、高さ2m以上はあるであろう大胆な作品、ダイナミックさを目の当たりにできてよかったです。(後に述べる作品ではないですが、Youtubeで見ると、数メートルサイズのキャンバスにペンキをだらーと流している動画が見れました。大人のおっさんたちが真剣な表情で作っているのが面白いです笑)


①大さじ(上の画像)

上に述べた通りの手法で、ポップな色合いを基調とした作品。画像では伝わりませんが、ペイントの色と混ぜられたキラキラした粉で、中々綺麗な色合いとなっています。個人的には作品の下部の糸が引いているところが、動きを出していて好きですね。
(なんで作品名が大さじなのかは謎)

②滝(画像なし)
ほぼ同じ手法で作られた作品。ただ何故か色は濃い緑色、茶色で、作品上部にはバシャァとペイントをぶちまけられた跡があります(後随所にロープ?)それと汚い色で環境問題を謳っているとは思えませんが、中々インパクトのある作品です。①大さじも好きなのですが、ペイントの勢いのある色の動きが見れるので、こちらの方が好きです。なお、今回の展示会で、個人的には一番好きな作品でした。

 

 

 

 

フランツ・ヴェスト、『無題(2011)』

本展覧会のメインで写っている石。「パスシュティッケ」と言われる粘土と石膏などで固められた「物体」です。見れば見るほど色んな、色で塗り固められた「物体X」です。

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今回の展示会の中で、数少ない立体作品になります。こういった立体作品は、ぐるぐる周回しながら見ると中々おもしろい。不定型なごつごつした表面、無作為に塗られてできあがった色合いが目を惹きます。どピンクばっかりなので「心臓」かなぁと思いきや、後ろの方に回るとうっすい黄緑がべっとり、今度は「苔蒸した石かな?」という感じ。何となく全てがぎゅーっと凝縮されているような、不思議な作品でした。

この作品は、展示会のど真ん中で飾られていて、「ここは抽象芸術展だぞ!」と主張していたのが、いい雰囲気を出していました。

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スターリング・ルビー(Sterling Ruby)、『SP101(2010)』(画像無し)

先ほど言っていた、ずっと眺めてしまっていた巨大アートです。抽象芸術なので、何を描いているのかまでわかりませんが、とても印象的な作品でした。

一見した見た目は、真っ暗な海にカラフルな三原色の虹がかかっているようにも見えますが、積乱雲よりも重々しい「黒」を基調としています。色はよく見ればスプレーを使っていることがわかるのですが、そこまでグラフィティ感はなし。逆に、あの有名なロスコの作品のようなぼんやりの丁寧な色使いに見えました。また、この作品は、縦3m横4m強ははあるであろう、超巨大な作品となっていて、眺めていた私は一気に引き込まれました。こういう作品こそ、是非美術館に言って体験してもらいたいと思いますね。

画像が出せないのが残念だ!
 

 

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今回の記事はこれで以上です。

本当は展示会会期中かその後に投稿したかったのですが、遅れてしまいました。。。
正直こういう抽象画が集結している展示会は奇抜なものばっかりなので、体力をすごく使うので、なんてブログに書くのか定めるのにすごく時間がかかってしまいました。いろいろ書きましたが総評としては気に入っているので、遅れても何食わぬ顔で投稿してしまいます(笑

 
ではでは。

2019.12.22 Sun 8PM