どうも、おかきです。
今回の記事は、2020年1月末まで姫路市立美術館で実施されていた、『ストラスブール美術館展:印象派からモダンアートへの眺望』についてです。
別の記事では、「現代アート大好き人間」と言っている私ですが、現代アートに至る過程で重要である、印象派以降のアートも私の好物です。
西洋アート史は「革命」の歴史と言われますが、その意味が最もはっきりとした形で分かる、アート近代史。展示会の名前からそれが詰め込まれたアート展であるのはすぐにわかりました。関西人にとってもやや遠方と感じる「姫路」でも、この展示会は、足を運ぶ十分な理由になり得ました。
今回は、そんな展示会のレビュー記事です。
※この展示会は、既に展示終了しました。
1. こんな展示会
今回の展示会は、アルザス地方のストラスブール美術館の収蔵作品の展示会になります。作品は、展示会の名前「印象派からモダンアートへ」にある通り、印象派からのモダンアートへの流れを見せてくれます。
正確な期間を言うと、19世紀後半〜戦後すぐの期間まで。印象派の前身、バルビゾン派の風景画から始まり、そして印象派、その後のキュビズム、抽象表現主義と、一連のアートの流れに沿った作品が一つの展示会の中で楽しむことができます。(まさに私の好物)また、展示される作品のアーティストも、印象派モネ、キュビズムのピカソ、ブラック、抽象表現主義のカンディンスキーと有名どころが目白押しです。
ちなみに、姫路以外にも、九州や東北など日本各地でやっているようですね。
2. 作品満載!
さて感想ですが、、、、とにかくボリューム多くて良い。
印象派の誕生から、キュビズム、抽象表現主義、、、それらの作品が何と100点以上。まさにアートの歴史を見ているようでした。印象派の感覚的なタッチの表現から、キュビズムの分析的・理性的な表現に移り変わっていく、、、またそれ以外にもモチーフの変化など、様々なアート表現の変遷を見ることができました。
また、このアート展で非常に良かったのは、印象派・キュビズムといった教科書でも出てくる「代表」とされるものだけでなく、同時代画家の作品や、大きな美術の流れからすると「傍流」とも言える作品が、数々展示されていました。アート史は、たった一つの線上で動いているのではない。今回の展示会では、そんな歴史の流れの「濃さ」を感じました。
ただ、一方で思ったのは、キュビズム・それ以降の時代がもう少し欲しかったなぁと正直思いました。印象派〜キュビズム以前までの移行期間の作品群が非常に多い。一応シュールレアリズムの作品もありましたが、そこまでパッとせず。(私の理解が浅いのも問題なのですが)私の見解では、モダンアートは、キュビズム入ったあたりからという感覚があるので、そうあって欲しいと思ったのですが、そこまで言ってしまうと、欲張りですかね。時代を広げてしまう分、先ほど言った「歴史の流れの濃さ」とトレードオフ。仕方ないかもしれません。。。。
3. 気に入った作品たち
さて、最後に気に入った作品たちを紹介していきたいと思います。
残念ながら撮影禁止なので、写真は載せられませんが、気に入った作品があれば、検索してもらえればと思います。
- クロード・モネ『ひなげしの咲く麦畑(1890年ごろ)』
印象派といえばモネ。現代アート大好きですが、モネの風景画も好きです。
この作品では、赤色を持つひなげしの花を、麦の中に埋没させるような描き方をしており、他作品と比べて色彩が鮮やかではありません。ただ、筆触タッチは健在。目の前に広大な麦畑が広がるのが見えました。 - ロタール・フォン・ゼーバッハ『ラ・ドゥアンヌからストラスブールへの道、雨の効果(1895年ごろ)』『冬の森(1899年ごろ)』
同じく印象派の筆触タッチで描かれた絵画です。特に前者の絵画では、雨降る街中が描かれるのですが、土の道路のぬかるみの反射まで丁寧に表現されています。風景画ではないので、普通の描き方なのか?と思い近づいてみると、筆のタッチだけで表現されています。筆触タッチだけでここまで表現できるのかと、とても驚きました。是非機会があれば見ていただきたい、そんな作品です。 - ポール・シニャック『アンティーブ、夕暮れ(1914)』
フランスのプロヴァンス地方の湖畔は。新印象派として、新しい表現を試みた結果、同じ直角四角形の筆触タッチの集合で表現する、「点描画法」の表現に行き着きました。さらに、モネとは違い、それらのタッチを並べていくので、モザイク画の雰囲気も漂わせる、特徴的な作品です。個人的には、今回の展示会の中では、一番好きな作品です。 - パブロ・ピカソ『ベンチに座る女(1970)』
アートの大家ピカソの作品。キュビズムゾーンは、ブラック・ブラマンクにお任せして、自身は戦後70年代のアートで参戦です。
ベンチに座る女性と犬の絵、、、のはずなのですが、独特の彼の表現により、ベンチ・体の部位が完全に分解され再構築、ほぼ同一化してしまい、どこからどこまでがベンチで、女性なのかさっぱり分からない。とても大胆な表現をした絵です。ピカソファンではないのですが、とても力強い絵だったので、気に入りました。
アート史研究では、20世紀初頭ごろのアート作品が評価が高く、歴史で言うと有名なあの『ゲルニカ』ばかり取り上げられますが、それ以外にもたくさんアート作品があります。というのも、ピカソが生涯で作ったアートの数は何万点。多作のアーティストとして、ギネス記録に載っているレベルです。私も全てを把握しているわけではありませんが、年代によって作品が大きく変化していきます。
奇抜な表現で有名なピカソですが、戦後の作品などを見ると、より原初的な表現が増えていきます。彼の人生そのものが、もはやアート史。それこそが、彼の面白さではないか?と思っています。
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今回の記事は、これで以上です。
やっぱりこの時代あたりのアート史は非常に楽しいです。
今回の展示会は、非常にボリュームもあったのがよかったです。取り上げませんでしたが、デュフィなど今まで見たかったアート作品も展示されており、とても満足できました。数ある展示会の中でも、かなり丁寧なチョイスがされていた部類だと思います。またこんな展示会があれば良いなぁと思います。
ではでは。
2020/6/21 10PM
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