おかきズム

元ニコ動実況者(断じて有名でない)が、社会人になってブログ。グッズレビュー、アート、映画書評を書いてます。

世界最高峰のアートフェア、アートバーゼル2020 オンライン開催だったので行ってみた。

どうも、おかきです。

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アート作品の売買を行うアートフェア、中でも世界的権威たるアート・バーゼル

以前投稿した記事に記載した通り、コロナの感染拡大に伴い、当初6月開始だったところを9月に一度延期、結局待てど改善の見込みが立たないため、6月上旬に開催中止を決断するに至りました。ただ、その代わり、ネット上での「オンライン開催」決定するに至りました。 

 
今回、 オンライン開催となった、アート・バーゼルに行った感想を書きたいと思います。アートバーゼルは勿論、アートフェアに行くのは人生初めてです。実は3月上旬の京都のアートフェアでも行こうかと思ったのですが、あえなく断念。オンラインとはいえ、初舞台が世界最高峰のアートフェアだとは思いませんでした。

 

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1. アート・バーゼルのオンライン開催

前述の通り、アート・バーゼルは、「世界の権威」とも言えるアートフェアです。
作品価値の総額がなんと数千億円にも上るとされ、それらを求め世界中のVIPがスイス・バーゼルに集まります。そのため、開催の毎年6月第二週は、ホテル代が急騰するとか。ただ、今回は、そんな急騰するホテル代に付き合う必要もない、高い飛行機代も要らない、私個人にとってもとてもありがたーいオンライン開催なのです。


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オンラインサイトに入るために必要なのは、メールアドレスだけ。アートの売買が目的なので、入館料だとか、資格だとか、そういうのは一切要りません。あくまでヴァーチャル世界なので、アートと直に接することはできませんが、世界的なアートの現場に、手軽に「アクセス」できるというだけでも、もう十分です。

今回のアート・バーゼル2020、オンライン開催に移行せざるを得なかったとはいえ、圧倒的ボリュームは健在。作品は4000作品、ギャラリーは282社、30の国と地域さすがは世界的権威のアートフェアと言えます。

※ギャラリー: アート作品を陳列・展示・販売する組織のこと。公共施設である美術館とは区別され、その活動範囲は広い。企画展を主催することもあるが、企画展に作品を貸し出ししたり、販売したりする。


オンライン開催実施に関するニュースの部分については、↓の記事で説明しているので、是非読んでくださいね。

www.okakism.com

 

 

 

2. アート作品について

さてここから、様々なギャラリーの展示を見て行ったので、大まかな印象を語っていきたいと思います。ただ前述の通り、200社以上のギャラリーがある中、これだけの数全てをみて回るほどの体力・時間は流石になし。訪れたギャラリーも適当にチョイスしていたので、見方に多少「ムラ」があることはお許しください。

 

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まず、作品ですが、俗に現代アート」と言われるものが圧倒的に過半数を占めます。
しかも「現代」といっても、2000年代以降のものが多数。アーティスト→ギャラリーに多く新しいアート作品を流通させているのか、作成年が「2019年」「2020年」の作品も、結構見られました。両者にとって、アートフェアでの売り上げも、貴重な収入源、かなり頻繁に作品のアップデートを行なっているのだと思います。ましてや今回それが世界的権威のアートバーゼルなら尚更、なのかもしれませんね。


あと、現代アート以外のアートは無いのか?と疑問に思う方もいると思います。

ただ、今回のようなアートフェアに限らず、オークションでも同じで、とにかく過去のアーティストの作品は、圧倒的に供給数が少ないです。それは何者か手によって買い占められたのか、美術館が手放さないのか、色んなケースがありますが、マーケット視点から言うと、過去のアーティストは、ある程度研究が進んで「評価」がある程度固まっているため、価値が揺らぐことがないからです。それ故、過去のアート作品は、非常に強い「資産価値」を持っており、そう簡単には出回らないという訳なのです。

今回のアートフェアでも、アートの巨人パブロ・ピカソや、70年代ミニマリストとして活躍したドナルド・ジャッドと、聴き慣れた、過去のアーティストの名前が出てきますが、かなり稀でした。「過去のアーティスト」というものをどこで区切るか分かりませんが、5%いや1%もないかもしれませんか。あとそういった作品は、基本巨大ギャラリーが独占していることが多かったですね。




3. でもお高いんでしょ?お値段のお話

次にみんな大好き、マネーの話です。

 

 

結論から言うと、全部高いです。


無論、数あるアート作品によって相対的に高い安いくらいはあります。ただ、大半アート作品のお値段が数千〜数、日本円だと数十万〜数百万円。アラサーサラリーマンには厳しすぎる金額です。しかもそれはあくまで表示金額なので、オークションのようにお金が釣り上がることはないでしょうが、ギャラリー側と交渉している間に、相当な額面になることは間違い無いでしょう。さすがは世界的アートフェア。貧乏人は来るな、ということでしょう。


そして、当然のことながら、高額アート作品を探してみたところ、やっぱりありました。数百万ドル、つまり億単位のアート作品が。どんなギャラリーでも、バリエーションを設けているので、そればかりと言うわけでは無いですが、やはり億単位の作品はありました。


億単位の値段が付くアート作品で共通するのは、2つ挙げれます。

一つは、巨大なアートであること。世界のVIPが需要家である以上、豪邸に飾っても遜色ないようなアート作品が好まれるようです。デカければなんでもいいという訳ではありませんが、そういう傾向は見られます。


そしてもう一つの共通点は、超が3つくらいつく有名アーティストたちが作っているということです。特に後者は特段大事なようで、有名であればあるほど、相対的に高いです。ましてや、億円単位のアート作品。ジェフ・クーンズなど、世界的権威とも言える、アーティストでないと、その額面は認められないということでしょう。やはりネームバリュー、実績といったものが、幅を聞かせる世界だなと思いました。そういう点では、「ブランド」が重視されるビジネスの世界と一緒ですね。


ちなみに私が見た限りの最高額は、草間彌生の南瓜の絵、350万ドル(3.8億円)。

 

こう言ってしまうと、安易に「日本人すげー」としかならなくなってしまうので、もう一度断っておくと、たまたま高い額面のアート作品が見つかったのが、この絵画だった、というだけです。そもそもサイトに記載される価格は「ベースライン」なのであてにはなりません。また売却済みの作品の場合は、そもそも価格が表示されないこともあるので、一見安かった作品も、最終どうなったのか?わかりません。



4. いろんなギャラリーに行ってみた。

最後に、各ギャラリーの展示について語って最後にしたいと思います。
どのギャラリーも、展示作品が制限されているのか、10〜15作品。いろんなギャラリーがあってとても面白かったです。

 

  • メガギャラリー、ガゴシアン(Gagosian)

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    なんでも有名どころは行ってみたい。という訳で、世界最大のギャラリーと呼ばれる、「ガゴシアン」に行ってみました。

    そんなガゴシアンの展示作品は、なんと初手ピカソもはや他ギャラリーの追随を許さぬ布陣であることを1作品目から感じさせます。オークションではなくアートフェアに並ぶような作品なので、見たことがないものでしたが、さすがガゴシアンと言わざるを得ません。(私が見たときは既に売却済みでした)

    他にも、ジェフ・クーンズの絵画(160万ドル)、村上隆のアニメキャラっぽい像(75万ドル)など、世界的有名なアーティストばかり。平均数千~数万ドルが基本だと言いましたが、桁数が全てを物語っています。

    一番衝撃だったのが、アンドレアス・ガースキー(Andreas Gursky)の『東京(2017)』。東京の住宅街を電車の窓から撮った、ただの風景写真なのですが、50~100万ドル。どれも見た目が同じ建物が並ぶ欧州都市と比較して、ある意味個性豊かな日本の住宅街を撮ったとのこと。アートブロガーだけど、なんでこうなるかよく分からん。。。アーティスト自身の研究も必要そうですね。

    https://gagosian.com/



  • David Zwirner

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    ガゴシアンと同じく、米国ギャラリーのDavid Zwirnerにも行きました。名前は正直初めて聞きましたが、あの前述の3億円強の草間彌生の作品は、実はこのギャラリーのもの。それもそのはず、世界三大ギャラリーというと、ガゴシアン、ペース、ハウザー&ワースの3社ですが、それに次ぐ規模の第4のアートギャラリーだからです。

    他にも、世界的権威ジェフ・クーンズのおなじみバルーンアート。(当然億円レベル)
    また、70~80年代に活躍したドナルド・ジャッドのアートもありました。ピカソと違い売却済みでなかったので、値段の記載があったのですが、こちらも100万ドル超え。ミニマリズムという、一つのアートの流れを牽引したアーティストの作品とはいえ、壁に張り付いた金属のアート作品。恐ろしい値付けです。

    www.davidzwirner.com



  • タカ イシイ ギャラリー
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    日本のギャラリーも覗いてみました。他にもあったのだと思いますが、明らかに日本語名なので、目につきました。他のギャラリーと違い、やはり日本人多め。あと、黒を使った抽象表現の作品が多く並べられており、まるで「1人企画展」をやっているようでした。ニッチな同系統内でバリエーションを作っていくという、アートフェアでの戦略的な判断を感じられました。これはこれで面白い。(中小ギャラリーなので仕方ないかもしれませんが、数千ドルと少し安かったのが気になった。。。世界の壁は厳しいのか?)

    www.takaishiigallery.com

 

最後に。アートフェアである以上、やはり形となる、絵画や写真、像がほとんどなのですが、映像作品の展示もありました。

なお、私が見た映像作品は、すでに故人となっている、米国のミュージシャンの特集?みたいなもの。フォトジェニックな画像が連続して流れたりはしますが、よくわからん。。。

 

 

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今回の記事は、これで以上です。


資本主義のご時世、今のアートシーンの重要な位置を占める、アートビジネスの現場を垣間見ることができました。当然、私は購入しなかった、、、もとい購入できないのですが、そこの空気に触れることができたような気がします。

あと、海外の主流となっているアーティストを知るにはいい機会になりました。やはりアートブロガーたるもの、「トレンド」くらいは知っておくべきです。今後もこういった機会があれば、積極的に参加し、世界の現代アートに少しでも触れるようにしたいと思います。


ではでは。


2020.6.27 Sat 9PM

 

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