おかきズム

元ニコ動実況者(断じて有名でない)が、社会人になってブログ。グッズレビュー、アート、映画書評を書いてます。

【おかきズム映画レビュー】#2: 映画 スターウォーズ スカイウォーカーの夜明け(ネタバレあり):新三部作 伝説的おとぎ話のその先

どうも、黒豆おかきです。

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先週ですが、ようやくスターウォーズの第9部を映画館で見てきました!! 

ネットで賛否両論分かれる新三部作、そしてその完結編たる第9部、
第7部、第8部は見たけど、わざわざ映画館まで見に行くの面倒だなぁ、と思ったのですが、年末年始に金を使い過ぎてしまったので、休日も家に引きこもり。せめてものエンタメと思い、見に行くことにしました。


と、いうわけで今回は久々の映画レビューです。
一応第9部の感想ではあるのですが、何分シリーズ物なので、「新三部作」はどうだったのか?について、話していきたいと思います。


なお、以下ネタバレ注意です。
(あと今回は粗筋は割愛します)

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1. 三部作全体について:ポストモダン的世界観、レジェンド三部作のその先

今回の三部作は、やはりポストモダンと言えます。

この難解な一文を読んでブラウザバックする前に、せめてこの章だけでも見て欲しい。
今回の新三部作ですが、評価が大きく分かれ、中には酷評の記事も少なくありません。
その原因は、良くも悪くも「ポストモダン的」に集約されます。なので、評価にいく前にこの話から始めたいと思います。


というのも、「スターウォーズ」は、第6部「ジェダイの帰還」で一度幕を下ろした「はず」の作品。エンドアの戦いで可愛いクマさん(もといイウォーク)と協力し帝国軍を撃破し、ルーク・スカイウォーカーダース・ベイダーが協力して皇帝を打ち倒す。最後は、みんなで花火大会して、どんちゃん騒ぎ。みんなハッピーで大団円、という感動的なラストで締め括られます。おしまい、チャンチャン。


が、そこに無理やり付け足したのが、今回の新三部作です。
旧作で終わってしまえば、「めでたし、めでたし」の物語で終わるのに、もう少し先を見たいと思ってしまった。要は新三部作とは、タイトルにもある通り、過去のおとぎ話のその先の話なのです。帝国軍=ナチスといった具合に、よく第4~6部を、第二次世界大戦をなぞっているという例えがありますが、その先にある今回の新三部作は、近代の先の「現代的な苦悩、葛藤」を表現している要素が多いです。

それ故、ヒーローモノの形式を多少継承しつつも一筋縄ではいかない、「展開」というか「未来」が読めないようなストーリーです。その「葛藤」そのものが、今回三部作の魅力になるのです。だから、その葛藤、迷いにイラついてしまう人は、あまり好きじゃないかも、、、とは思います。(特に第8部はそうでしたね)



2. 旧三部作的展開をあえて外した第7部、第8部

第7部、第8部は意図して旧三部作と異なる展開、構成をとっていたかと思います。

これは旧三部作と同じ展開だとまずいよね?といった短絡的な考えもあるのだと思うのですが、旧三部作という「伝説」を観客も共有しているからこそできる技だと思います。ある意味、観客とも共有されたポストモダンの話から考えると、とても好印象でした。


特に今作は、撤退戦多いです。追い詰められて、追い詰められて、第8部では壊滅寸前まで追い詰められ、「今後どうなっちゃうの?」みたいな展開はすごい好きでしたね。ワープで敵艦に追いかけられるのは、流石に衝撃でしたね。

  • ハン=ソロとレイア姫の息子を、ルークがジェダイの弟子にするが、ひょんなことでダークサイドに堕ちてしまうという悲劇(おとぎ話の終焉)
  • 主人公レイと、敵役ベン=ソロ(カイロ=レン)の葛藤。
    (英雄譚的な形式に囚われない、敵味方を超えた葛藤)
  • 撤退戦メイン(ワープを使っても逃れられない非情な現実)
  • レイ、フィンなど複数キャラを通した多視点的な展開
    (レイはヒーローだけど、あえて「中心」に据えない展開)
  • シスの最高指導者スノークが、第8部の時点で味方であるはずのカイロ=レンに殺害される。(宿敵の早すぎる退場) 
    まあ結局カイロ=レンが、レイをダークサイドに勧誘するという点では同じですけど

 

あと、第9部含めて新三部作は、「昔ながらのSF感」は少々ブレーキがかかっていたような気がしました。あのオタク的で、正直「冗長」とも言える無駄なキャラクター設定、世界観。旧作だと、ジャバ・ザ・ハットの館はまさにその一例だと思うのですが、まさにそういったガツンと印象に残るところが、今回は無かったように思えます。


恐らく最近の観客の嗜好を読み取って、偏屈とも言えるオタク要素を除いたのもあると思うのですが、恐らくこれも「撤退戦」の緊迫した状況を作るためだと思います。

その影響か、新三部作のストームトルーパーが、テロリストを追いかける警察官並みの怖さがあります。ポストモダン的な世界観における、ディストピア的存在(監視社会を意識?)としたい製作者の意図もあるのだと思うのですが、旧三部作の若干アホなストームトルーパーが懐かしいです。


 

3. 今作第9部で急展開、若干無理くりじゃないか説

さて、長くなりましたが、第9部です。

今作の第9部の展開の根幹ですが、やはり「暗黒面シスのボス、パルパティーンが(クローンだけど)生きている」「主人公レイはその孫娘」ということでしょう。
ただこの展開は、ちょっと無理が多いんじゃない?というのが正直な印象です。



今思い返せば、主人公レイが作品を通して「正体」について自問自答していましたし、第8部の修行のシーンでは、シスとの繋がりを感じられるシーンは多々ありました。

が、それでもやっぱり無理くりじゃない?という印象。


主人公レイは、自らの出自がわからないキャラクターとして登場。きれいな相貌ですが、辺鄙な惑星でゴミ漁りで稼ぐ、ただの"scavenger"としてみずぼらしい生活を送ります。そこから戦いに巻き込まれ反乱軍に参加、ジェダイとして強くなるため修行の過程で「何でもない両親に売られて捨てられた」と悟ることになります。第8部ではその過去を悟り、苦しむレイが描かれますが、最終カイロ=レンと決別し、強く生きるように見えました。



その後、第9部でいきなり「パルパティーンの孫」という設定が登場。明らかに「ダース・ベイダー = ルークの父」という旧三部作設定のオマージュですが、今更"I am your grandfather"はきついなーという印象。(そんな台詞はないですが)

無難なところに収束させようとしているなぁと思ってしまいました。


確かに、一つ前の第8部も正直どうなるかわからない感があり、「で、どうするの?」「ちゃんと終わるのかなぁ」といった不安な側面もありました。が、それはそれとして、前項でも述べた「ポストモダン的な」世界と言えるもので、第9部でどう締め括られるんだろう?という期待感もありました。


散々旧三部作的設定を回避し続けてきた中、唐突に旧作の「スターウォーズサーガ」に押し戻すかーという感は否めませんでした。オマージュというか、過去作の延長線を地で行っている感じです。宿敵との繋がりというと、ハリー・ポッターが、宿敵ヴォルデモートの力を一部持っている、みたいなくらいに抑えて欲しいところでした。

 

 

4. 最後に:やっぱりみんな大好きスターウォーズ


最後に言っておきますと、色んな思いは確かにありますが、一本の映画としては面白いです。

7~8部で通してきたポストモダン的な暗いSF感が少なめ、経緯を無視したかのようなストーリーの転調、最後は"Force brings us together."という唐突な「結束」アピールも入りますが、やはり主人公が悪の親玉をやっつけるという話を、スターウォーズの規模感でやって面白くないはずがないわけです。


レジェンド作品のその先なので、かなり期待値が高かった故に、ネット上に色んなコメント・議論が展開されているのだと思いますが、それは一重にみんな知っている、愛してやまないスターウォーズだから、ということなんでしょう。


オチとしては、多少疑問視される部分もありますが、あの「スターウォーズ・サーガ」の世界のその先を見ることが出来たという点で、素直に新三部作の誕生を喜ぶべきなのかもしれません。

ではでは。



P.S. ネット上に色んなコメントがあったので、ポストモダンがどうだとか、思い思い色々書いてやろうと思いましたが、若干支離滅裂になってしまいました。ごめんなさい!

2020.1.27 Mon 10PM

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