おかきズム

元ニコ動実況者(断じて有名でない)が、社会人になってブログ。グッズレビュー、アート、映画書評を書いてます。

[Art News]村上隆氏の会社、カイカイキキに迫る経営危機? 映画作成も中断(2020/7/1)

どうも、おかきです。

 

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7月初日に、衝撃のニュースが入りました。

世界的な日本人アーティスト、村上隆(むらかみ・たかし)氏が、インスタグラム上でビデオを投稿。自身が経営する会社の窮状について語りました。

日本、いや世界を代表するアーティストに何があったのか?、今回はそれについての記事です。

 

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村上隆氏 公式Instagramより

1. 村上隆について

まずは、一応「村上隆」についての説明を付けておきます。
ご存知の方は、次の章に行ってもらっていいです。

 

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村上隆氏の著書持ってます。いつかブログで紹介したい。

 

村上隆氏は、現代アートを代表する「世界的アーティスト」と言って過言ではないでしょう。

これは、アート素人の人間が、日本人だから持ち上げようとしているのではなく、事実そうです。村上隆氏を語る上で、10年程前、2010年前後の活躍がメディアで取り上げられてしまいますが、今回のニュースに関するあらゆる記事でも、「存命のアーティストの中で、"best selling(最も売れている)"アーティストの一人」だと表現されているので、世界的アーティストの一人といって間違い無いでしょう。

 

彼のアートの特徴は、スーパーフラット。日本の漫画やアニメに影響を受けた、二次元的表現を惜しみなく用いた作品が特徴です。中には萌え系アイドル、謎の生き物・キャラクターまで出てきますが、そこは、ある種の「妄想」を漫画・アニメなどの作品にするという、日本の独特の消費文化を大いに反映させています。村上隆氏は、そのオリジナリティーで、世界のアートに訴えかけました。1990年代から活躍を広げ、2000年代には、カルティエルイ・ヴィトンとコラボ、さらにフランスのベルサイユ宮殿で個展を開くなど、目覚ましい活躍をしています。

  

2. Instagram上で語られたこと

さて、本題に移ります。

2020年7月1日、村上隆氏が突如Instagram上で、自身の窮状を伝える15分のビデオを投稿しました。ごく最初の数分は、世界中に向けて英語(英語の字幕付き)で話していますが、残り大半は日本語で喋ってくれているので、良かったら見てください。映像には「5月23日撮影」とあるので、一ヶ月以上前に撮影された映像のようです。

 

  • 新型コロナウィルスの影響で、キャッシュフローが悪化。"almost bankrupt(ほぼ倒産)"と、会社の経営が非常に思わしく無い状況。現状、手がけている数々のプロジェクトを中止せざるを得ない状況。

  • 中でも、自身の1番の試みである、2011年から9年作成し続けた映画『Jellyfish Part2: Mahashankh(邦名: めめめのくらげ マハーシャンク)』についても、作成を中断させる。

1番目の「経営難」が大きく飛び抜けてしまっていますが、作成中断の大きな理由として取り上げただけで、15分間のビデオのほぼ全て映画作成中断の話になっています。いかに労力を費やしたかという話に始まり、ビデオの中盤から映画作成の「舞台裏」ムービーが挿入され、思いの丈を語るどうかとなります。(何回かに分けてInstagramに投稿する模様)

 

ちなみに、何でこんな深刻な話をInstagram上で投稿するんだ!となるかもしれませんが、最近のYoutubeホリエモンチャンネル」での対談によると、最近アーティストはInstagramで活動が多く、ビジネスの誘いもInstagram上でもらうことがほとんど。アーティストにとってInstagramは重要なツールとなっているようです。

 

ビデオはこちらから。

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村上隆氏 公式Instagramより

 

3.  "I'm a silly human being"  : 映画作成への思い

 

今回の動画では、社長・監督である村上氏本人の口から映画作成への思いが語られました。


元々村上氏は、漫画作家、アニメ作家を目指していたことがあるのですが断念、最終アーティストに行き着くのですが、SFのメカニックな世界を表現したいという思いがありました。映画「めめめのくらげ」は、子供にしか見えないF.R.I.E.N.D.(フレンド)という不思議な生き物(村上キャラ)たちが出てくるSF映画まさに村上ワールド。B級感を匂わせる映画ですが、まさに村上氏の夢なのです。


[公開された第1作]

www.youtube.com

 

事実、かなりの気合の入れ様でした。自身が監督を務めつつも、スプラッター映画の西村監督との二人三脚体制。名の知れた俳優を登用、また村上氏本人に撮影等のスキルがないため、スタッフからあらゆる協力、さらに、映画製作の過程で「CG処理」をふんだんに使うことになり、第1作に200カット、第2作に1200カットと、「日本の映画では未だかつてない(2012年記者会見)」レベルとなっています。

 

 

ただ、映画作成は思うように上手くいきませんでした。 
アクション市場・演技指導など、様々な作成進行をこなしていきますが、どうも「ゴール」「方向性」が見出せていなかったそうです。さらに苦悩の末、完成した第1作(2013年公開)が不評で、何と2日で打ち切りという事実を突きつけられてしまいます。「手応えあり」と村上氏は言ってましたが、この事実にさぞ悲しんだことでしょう。。。

 


さらに、第2作作成では、監督/経営者としての「孤独」「責任」が、大きな重圧としてのしかかります。多方面の協力を得るとはいえ、指揮をとるのは村上氏自身です。作品制作を第1作公開前の2012年に作成開始。第1作で自信をつけ、実現できなかったことを実現するためか、前述のCG多用やセットのスケールアップを試みました。


しかし、このスケールアップこそが、失敗への遠因だった気もします。気軽に振る舞う姿が映像の節々で見えましたが、一方映像の中では、完成が一向に見えないまま苛立ちを隠せない姿が終始見られました。2012年に開始、そしてリテイク、2013年にまたリテイクと、それの繰り返し。恐らくですが、当初の熱意が空回りし、空中分解してしまったのだと思います。


そして、今年2020年。COVID-19の感染拡大で自身が経営する会社が大打撃、
2020年7月1日に、映画作成を断念するに至りました。

 

第二作にも、たくさんの資金、人員を費やしていたということもあり、退くに退けなかったのも事実でしょう。ただ彼もアーティストの一人。自身の燃えたぎる思いを何とか作品にするために、あらゆる犠牲を払おうとしたのだと思います。シニカルな表現ですが、映像のタイトル"silly human being(バカな人間)"も、そんなアーティストとしての自分自身に向けた言葉なのだと思います。

 

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今回の記事は、これで以上です。


日本を代表する、世界的アーティストの厳しい境遇に私も衝撃を受けました。
今回、映画作成に対する苦悩という、著書を最近出していない村上氏の別の側面を新たに知ることができましたが、それ以上に経営危機がとても心配です。


村上氏自身は"heartbreaking"と言いつつ笑って済ませていますが、今回の投稿に関するアート業界側の反応は、冷ややかな反応です。

Instagram上で語られたのは、あくまで「映画作成中断」の話ですが、新型コロナウィルスの影響で、会社の経営は、"Almost bankrupt(ほぼ倒産状態)"と発言してしまっており、彼が手がけた既存の作品に大きく影響が出るのでは?、と懸念しています。業績を公開している会社ではないので、実際の状況はよくわかりませんが、今後がとても心配です。

 

ではでは。

2020.7.11 Sat 3PM

 

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